産經新聞住宅面連載記事

posted in: 建築その他 | 0
「浴槽」
■【海野健三のここがポイント】浴槽


間接排水は構造材が腐る恐れが

浴槽のカタログをよく見ると小さな字で「間接排水」とか「直接排水」と書いてあります。この違いはとても大きな違いです。

間接排水とは、浴槽の排水口が配管で繋がっていないものです。
モルタルで大きな如雨露(じょうろ)のような形状を作り、そこに排水を流し込むのです。施工的には、如雨露に浴槽の排水口を合わせるように置くやり方で、配管工事が難しいために採られている方法です。
ユニット以外の浴槽は、ほとんどがこの方法で施工されています。
すべてのお湯が如雨露にのみ込まれたとしても、湯気は浴槽の下に充満します。

怖いのは不幸にしてその近くに土台があることです。
高性能の家屋では床下に換気口がないものもあります。そんな家は一度ぬれますとなかなか乾きません。水分と温度で土台に「腐れ!」と拷問をかけているのと同じです。

懐中電灯で排水口をのぞいてみれば間接式かどうか分かります。
もし間接式でしたらリフォームの項目に入れてください。

その時は直接排水式にするか、一階であっても防水工事をしてください。
直接排水は、施工のために外壁や隣接の壁に作業用の穴を開けなければなりません。
それが無理ならユニットにしてください。フルユニットに抵抗を感じる人はハーフユニットの物があります。腰下はユニットですが、腰上は自由に作れます。構造材が腐っては話になりません。

(建築家)(2002年12月5日産経新聞より)

 

「壁材」
■【海野健三のここがポイント】壁材


自然素材なら安くて環境に優しい

ビニールクロスは、環境の面やシックハウスが問題視されていますが、自然素材のものや接着剤も開発が進み、害のないものが出回っています。それらを使うと良いでしょう。

「クロスもいいけどクロス以外で何かないのだろうか」と、張り替えるときに思う方もいらっしゃるでしょう。その場合は、下地の石膏(せつこう)ボードから張り替えるのは大変ですから、クロスをはがした上に施工できるものが良いでしょう。
簡易な塗り壁もそのひとつです。塗り壁風のビニールクロスを本物にするわけです。古い塗り壁のイメージですと「本物はお金が」と心配になりますが、大丈夫です。

もともと塗り壁材料は土や石灰、石膏、珪藻土(けいそうど)など自然の材料で、とても安いものばかりです。例えば基礎材に石膏プラスターを使い、珪藻土を同量入れて、お好みで顔料やワラを入れれば出来上がります。それを石膏ボードに塗ればいいのです。材料費はほとんど掛かりません。

材料の手配方法が分からない人には面倒ですが、そういう人には、調合済みが市販されています。
便利な調合済みは、その分高くなってしまいますが、知らないで失敗するよりは手軽ですし、高いといってもクロスと同じぐらいでできます。
好きな人なら自分で塗ることもできます。コテむらをつけるならかえって素人の方がセンスがあることもあります。

(建築家)(2002年12月14日産経新聞より)

 

「IHコンロ」
■【海野健三のここがポイント】IHコンロ


安全性が高く燃費も火力も良い特徴が

このところIH(電磁誘導加熱)クッキングヒーターのCMをよく目にします。IHコンロの特徴は鍋などを直接加熱することです。
表面は平面の耐熱ガラスなので、器具を置いていなければ、万一スイッチが入っていても表面が熱くなることはありません。安全性が高いことは一般的に知られています。
また加熱する以外に熱を浪費することもないので燃費も良く、火力もガスと変わりません。

特徴は他にもあります。ガスを使用した場合に発生する燃焼に伴う上昇気流がないので、油の粒子が飛び散らず、周りの壁が油で汚れることがありません。料理が終わった後、コンロの周囲をふくだけ。表面が平らですからふくのも楽です。

掃除が楽というのもありがたいですが、これがなぜ面白いかというと換気扇が真上になくてもよいからです。換気扇の目的は蒸気を排出するだけになりますから、設置場所が制限されません。さらにコンロ上のレンジフードも不要になり、その部分を収納場所にリフォームすることも可能です。キッチンの真ん中に置くアイランドキッチンも作りやすく、レイアウトがとても楽になります。

欠点をあげれば、最近はアルミやステンレスでも使えるものが出てきましたが、使用できる種類が限定されることです。

(建築家)(2002年12月21日産経新聞より)

「床暖房」
■【海野健三のここがポイント】床暖房


燃費で比べれば、電気よりガス

断熱性能が優れた家ですと、暖房は床暖房だけで十分です。
空気を汚さず足元が暖かいので理想的です。室内の温度が20度あればよいとした場合、床面の温度も20度でよいのですが、一般に体温は36度前後のため、素足で20度の床に触ると冷たく感じます。室温は十分でもフローリングは素足には冷たいということになります。暖房は必要でしょうから、やはり床暖房がお薦めです。

「床暖房は費用が高い」といわれますが、安い費用で床暖房を実現する方法があります。
ガスで温水を作り、床下に設置した管に温水を通す方法です。燃費の面でも電気に比べガスの方が安いです。既製品もかなりありますが、自前で設置するのです。

以前は温水を床下に通すため、配管からの水漏れ、配管の詰まりなどメンテナンスが難しいなどの不安要素がありました。しかし、材料も進歩しています。架橋ポリエステル管を使い、一回路内に継手を無くすように配管すれば、水漏れの心配は無用です。専用の熱媒を使えば管詰まりもありません。

管は100メートルで2万円もしません。ボイラーと管の設置費用をみても全部で実費20万円あればできます。お手ごろ価格で床暖房が可能です。 工法的には管はモルタルで埋めるので、タイル仕上げが理にかなっています。

(2003年1月17日産経新聞より)

「ペアガラス」
■【海野健三のここがポイント】ペアガラス


真空利用で断熱性を高く保つ

断熱が進歩した最近の住宅で、熱が逃げていく部分といえば窓です。
その対策にペアガラスがありますが、ちゃんと断熱を施した壁とは比べ物になりません。ペアガラスにした場合でも大きなガラス面を作ると断熱の悪い家になります。

同じペアガラスでも、Low-Eガラスを使用したものや、真空を利用したガラスにすれば、性能は高くなります。

真空ガラスは2枚のガラスの間に真空層を設けたもので、真空層はたったの0.2ミリです。もし3ミリのガラスで作ったとしても6.2ミリのペアガラスです。通常のサッシ枠でも入るのでリフォームに向いています。他のペアガラスでも普通のサッシ枠に対応したアタッチメントがあります。

一般のペアガラスの空気層は6ミリか12ミリです。乾燥空気を封入したものとアルゴンガスのものがあり、後者の方が断熱性能は高いです。

しかしガラスだけ高性能にしても万全ではありません。サッシも断熱サッシにするのが理想です。サッシ枠のアルミは極めて熱伝導率が高い物質なので結露がたくさんつきます。結露の量は逃げた熱の量です。

理想はちょっと高価ですが木製です。アルミ製では樹脂を挟んだ断熱サッシがあります。なお、ペアガラスは劣化を伴うため、保証期間は10年です。密閉用シールが破れて曇る場合もあるので、高い所に使うと交換が大変になります。

(2003年1月24日産経新聞より)

「エレベーター」
■【海野健三のここがポイント】 エレベーター


既存家屋に負担かけない自立型

リフォームでもエレベーターを設置することができます。その場合、既存家屋に負担をかけない自立型を採用します。

建物と関係なくエレベーターが自立していれば、家の構造にかかわらず設置できます。といっても住宅の構造が不明なものは申請できません。確認通知書(構造計算書)を紛失した場合などは難しさがありますが、別な方法で構造の安全が確認できれば可能です。

木造は構造のチェックは設計者にまかされて行政は関与しませんので確認通知書がなくても申請できます。いずれの場合も違反建築であれば不可能ですが。

さらに、建蔽(けんぺい)率や容積率が基準以内であれば、外付けという方法もあります。

二カ所停止のエレベーター本体は、約200万円です。それに付帯する工事がケースによって大きく違いますが、200万~250万円ぐらいが一般的なようです。年間のメンテナンス費用は、約58,000円です。

もし新築をお考えであれば、将来エレベーターが設置できるように作っておくことをお勧めします。エレベーターは畳一枚分で設置できます。上下同じ位置に納戸などを配置し、床下にピットを作っておくのです。新築時にやればたいした増額にはなりません。設置時に間取りを大きく崩さなくてもすみますし、200万-250万円の工事費も大幅削減できます。

(2003年1月31日産経新聞より)

「敷地と家」
■【海野健三のここがポイント】敷地と住宅


調和すると美しく潤いのある住宅に

敷地の広さと家との関係は大別して三通りあります。一つは敷地いっぱいに建てる以外にない場合です。もちろん建蔽(けんぺい)率の範囲内ですが、容積率や斜線制限などもあって、必要な居住空間を確保するために、まるで格闘しているような感じです。

こうした敷地は少なくなく従って狭小敷地でも快適空間を生み出す努力は社会的にも重要で、建築家として大いに関心を持つべき領域です。一般的に外観は道路側からしか見えません。狭小敷地とは逆に、広大な敷地にポツンと建つ場合があります。建蔽率など、建築を制限する法規とは無縁ですが、法規よりも敷地の持つ匂いや周囲の雰囲気が建物に影響してきます。四方から外観が見えますから、彫刻のように建物全体の形が重要で、建築が一番夢見る状況といえます。

三番目の場合は、ちょうどその中間です。 敷地に多少の余裕があり、庭も取れる。建物と敷地とがもっとも融合する状況にあります。

家の設計は、庭を設計することでもあり、規格住宅を建てる場合は、家を置いた残りの空き地が庭となりがちですが、自由設計なら、敷地と住宅との融合についても大いに考慮したいものです。敷地と住宅が調和すると、美しく潤いのある住まいができますし、実際よりも広く感じられるものです。

(建築家)(2003年2月7日産経新聞より)

「北道路」
■【海野健三のここがポイント】北道路


設計は家全体の配置を考えて

冬の日射量の多い地域では、家を北側に寄せて、南に庭を取るのが一般的です。問題は、北に道路があるときです。南に庭を取りますと、さらにその南側には他人の家があり、その家も北に寄せて建っていますから、わが家の庭は陰になってしまいます。他人の家の北側の壁を見ながら暮らすことになり、北側の壁にはトイレや風呂の窓があることが多い。市街地ではそういう状況をよく目にします。

庭は南側にあるものだという固定概念に縛られているとその状況から抜け出せません。逆の発想をするための手助けになることがあります。植木は光があたっている面を眺めた方がきれいです。新緑のときとか実がなっているときは特にそう思います。南に庭を配置すると、居間からは植木の陰の面を見ることになり、眺めたい植木は南に置かない方がよいといえます。

といっても、太陽は東から西へ動きますから陰の面だけを見るという状況にないのですが、植木が南隣家の陰の中にあっては全く日が当たらないということになりかねません。

家全体の配置を考え直すと良い答えが見つかるかもしれません。家の設計とともに庭の設計をするように心がけると良いでしょう。間取りのことばかりでなく、植木のこと、ペットのこと、道を通る人の目を楽しませること、ひいては街並みのことまで考えに入れて設計すると全体が良くなり「住みたい街」につながります。

(建築家)(2003年2月14日産経新聞より)

「狭小敷地」
■【海野健三のここがポイント】狭小敷地


狭小敷地という広さの定義はありませんが

とにかく家の配置など考える余裕もないもの、と言えるでしょう。私がつくった家で一番小さな敷地は8.5坪でした。地域によって建蔽率等が違います。商業地域ですと作り方によっては100%建ててもいいのですが、住居地域は60%のところが多く、もし土地が10坪しかなかったら6坪の家しか建てられません。3階が建てられても18坪にしかなりません。隣近所を見ると違反建築が並んでいます。自分も違反で、と普通だったら思ってしまうでしょう。

しかし違反建築を建てるしかないのでしょうか。
狭くても広く見える工夫があります。狭い方が楽しいこともあります。普通につくると多分殆ど使わない部屋があるのではないでしょうか。全部の部屋がいつもフル活動するように考えると以外と使える家になります。その為には家を考えるときの何LDKという概念を取り除く必要があります。

そのとき狭いからといって階段を急勾配に作りますと失敗します。狭いと上下運動が多くなります。階段がきついと昇り降りで疲れ、毎日の事ですから不満の種になり、使いにくい家、という事になってしまいます。極端に言えば、部屋がとれなくなっても階段は緩く作る事をお勧めします。一段の高さを18cm、幅は25cmほどにするといいです。
(2003年2月28日産経新聞より)

「悪条件下の敷地」
■【海野健三のここがポイント】悪条件下の敷地


頭を切り替え条件生かした設計を

変形した敷地や斜面、狭小地は悪条件ともいえますが、逆にそれらを生かした設計をすれば、思いがけない空間に出合えることもあります。

消極的にとらえずに、その条件を楽しむことは可能です。ただ建築費が若干割高になるかもしれませんが、それも工夫次第でしょう。

悪条件の所に、普通のものを持ってこようとするから割高になるのです。普通ではないのですから、頭を切り替えて、その場に合ったものを建てればよいのです。
よく斜面の所に強引に平坦(へいたん)な部分を作ってから家を建てているのを見かけますが、ずいぶん無駄なことをしているわけです。それが盛り土である場合は、かえって地盤沈下を招き危険です。
悪条件としては、他に騒音や悪臭、振動、治安の悪さなど、人為的なものがあります。それらに対してはなんらかの工夫で防御するしかないでしょう。騒音には遮音壁を作ったり防音サッシを付けたりします。悪臭は窓を開けられない苦しさがありますが、空気清浄器と換気扇をうまく使うしかないでしょう。

振動に対しては基礎に免震装置を付けます。住宅規模ぐらいの軽い建物ですと、大型の車が走っただけでも振動します。大掛かりな免震装置は費用面で無理ですが、小規模向けに開発されたものなどは、線路脇の振動にも効果があるようです。

(建築家)(2003年3月2日産経新聞より)

「段差」
■【海野健三のここがポイント】段差


失われていく昔ながらの機能とデザイン

5センチ以下の段差が一番つまずきやすくて危ないものです。昔は板の間と畳の間の境に4~5センチの段差をつけました。トイレもスリッパを履きかえるためにドアが開く方を、浴室は水の処理に浴室側をそれぞれ下げました。掃き出しサッシの内外にも段差があります。雨の吹き込みを防ぐために必要なものです。同じ理由で玄関のドア部分にも段差があるのが普通でした。

段差は雨じまいの機能面と空間の質を変えるためのデザインとして当然でした。板の廊下から畳の部屋に入るとき、数センチの段差は、心理的な演出として必要でした。昔の家は段差だらけでした。そうした段差がなくなろうとしています。

浴室の出入り部にはグレーチングの水受け部品を使えば段差がなくても脱衣室のほうへ水がいかずにすみます。掃き出しサッシの場合、段差がないと部屋の床と外のベランダの床が同じ高さでつながります。昔は外が10センチ以上は下がっていて、スリッパを置いてあってもそれほど気になりませんでしたが、段差なしではスリッパが丸見えです。ところが、車いすでも自由に出入りできるといった理由から、そのほうがいいという時代に変わってきました。

玄関ドアの下は段差をなくすとすき間ができますが、ドアが閉まるとすき間を自動的にふさぐ部品があり、それを使えば雨の浸入は防げます。

(建築家)(2003年3月6日産経新聞より)

「トイレ」
■【海野健三のここがポイント】トイレ


不測の事態に備え広く贅沢に

若くて健康な家族の住む間取りを検討しているとき、将来、車イスを使用するかもしれないといった予測は「縁起でもない」という感覚になりがちです。いずれ自分たちも高齢になるという切実さが希薄だからです。ですが、高齢に限らず、一時的にけがや病気で体が思うように動かなくなるときが必ずあると思って設計した方が結果的にいいといえます。

これからの時代、長持ちのする家を建てたいものです。家を作る場合、自分たちが使うという意識がありますが、かりに100年持つ家を作るとすると、次に使う世代の方が長く使うこともありえます。新生児がいることも、死期を迎える老人がいることもあります。そのため、いろいろな状況を包み込めるようなプランがよいといえます。

ただ、健康な人ばかりの家なのに老人ホームのような家を作るのも変です。しかしそうなったときのために対応しやすいように作っておくことは大切です。

例えばトイレですが、不測の事態に備え、広めに作っておくことは賢明です。間取りの検討段階では、健康な人ばかりだと、最初は広めに取っていても、つい小さくなりがちです。そうならないよう、贅沢なトイレをつくりましょう。生け花や広めのディスプレーを施して、魅力あるスペースとして設計しておきます。

(建築家)(2003年3月15日産経新聞より)

「壁」
■【海野健三のここがポイント】壁


9ミリ以上の厚板なら確実にビスが打てる

壁にしっかりと固定したい時、とくに手すりのように大きな力がかかる場合、固定する場所が石膏(せっこう)ボードだったり、5ミリほどの板だとビスが効きません。あらかじめ下地材を入れておく必要がありますが、まえもってどこに何を付けるか、予想するのは面倒ですし、また工事自体もやっかいです。

木造であれば間柱が45センチ間隔で入っていますから、そこに固定すれば下地は不要ですが、27ミリ程度の薄い間柱だと、そこを狙うのが難しく、数本のビス止めが必要なのに一本しか打てないことになりがちです。

間柱に45ミリほどの厚いものを使っておけば、かなり力のかかるものを付けても安心です。しかし壁の中の見えない部分に打つので、探す道具があるとはいえ、手応えだけが頼りです。

そこで9ミリ以上の厚い板で壁を仕上げれば、どこにでもビスが打てて確実です。本来は下地材ですが、表面のきれいなものは、十分仕上げ材としても使えます。下地材なので安価で丈夫で、変な化粧を施した壁材よりいいものがあるので、私はよく使います。

壁のビス穴が気になるときも、こうした素材なら、気にならないものです。

壁がコンクリートの場合は難しいと思われがちですが、ハンマードリルで簡単に開けた下穴に直接打ち込めるビスがあるので、どこにでも取り付けられます。

(建築家)(2003年3月21日産経新聞より)

「浴室」
■【海野健三のここがポイント】浴室


洗い場をすのこで高くする

洗い場の床面より浴槽が下にある方が使いやすいケースがあります。温泉をはじめ、広くゆったりとした公衆浴場では、よくそうなっているのをみかけます。

この形ならば、洗い場で座っている体勢から浴槽に入りやすいものです。

しかし家庭用では浴槽を掘り込むのは難しいし、一坪ほどの浴室では落とし込み形の浴槽は広さとのバランスが悪くなります。狭いと浴槽の縁に立つことになり、落ちそうで怖いものです。本当はもっと広さがほしいのですが、一般の家庭では難しいことです。

浴槽は洗い場から45センチほど高くなっているのが一般的です。そういう場合でも、対応する方法があります。洗い場をすのこで高くするのです。浴槽と同じ高さにすれば使いやすくなります。すのこを高くすれば脱衣室から浴室に入るときの車イスからの移動も楽になり、かえって浴槽を掘り込む形より機能的になります。

普通の使い方をするときは、外せるように、すのこは2~3枚に分割しておくといいでしょう。

水に強い木材として浴室にふさわしいものは青森ヒバです。ヒノキチオールを多く含み、とても香りがよく、森林浴をしているような気分になります。青森ヒバのヒノキチオール含有量は、ヒノキよりも多いのですが、米ヒバは含有量が少ないようです。

(建築家)=おわり(2003年4月4日産経新聞より)